実は間違っている、栄養に関する3つの定説

健康や栄養に関する情報の多くは、新しい理論や研究結果の発表により、日々、その内容がアップデートされています。しかし、一部のダイエット術やネット上を流れる噂については、その効果や真実が解明された後であっても、これまでの古い情報がそのまま定説として流れ続けています。今回は、そんな健康や栄養に関する情報の中から、栄養素の採取に関する定説を三つ、取り上げて検証します。

ビタミンをサプリメントで摂取するのは無駄なこと?

食事とサプリメントで健康を維持する、という考え方が広く社会に浸透しているサプリメント先進国であるアメリカでも、時として「ビタミンやミネラルのサプリメントは無駄である」といった発表がニュースを通して報道されることがあります。これは本当に事実でしょうか?ビタミンやミネラルは、水やたんぱく質、脂質、炭水化物(糖質)と同じように、人間が生命を維持していくためには欠かすことのできない栄養素です。特に人間が体内で生成することのできない、もしくは十分な量を作ることができない必須栄養素は外部から摂取しなければなりません。また、各栄養素は体内でお互いに作用することでその役割を果たすため、たとえ1種類であっても長期に渡って不足すると健康のバランスを大きく阻害します。

しかし、アメリカの政府機関であるUSDA(米国農務省)の報告では、健康摂食指数でのアメリカ人の栄養スコアは「F」または「D」ランクに相当する60点以下で、大半の人がビタミンやミネラルの必要摂取基準を満たせていません。また日本の厚生労働省による平成27年国民健康・栄養調査報告でも、20歳以上の日本人のうち、主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を1日に2回以上食べることが「ほとんど毎日」できている人の割合は男性47.6%、女性52.7%。年代別でも、男女ともに若い世代ほどその割合は低くなり、定期的に栄養バランスのとれた食事をとれている人はそれほど多くありません。

つまり、栄養の良い食事をとれなかった日については、バランス良く栄養素を配合した適量のサプリメントで不足分を補うことは無駄なことではありません。もちろん、サプリメントはあくまでも栄養補助食品であり、バランスの取れた食事に代わるものではありませんが、病気を未然に防ぎ、健康寿命を延ばす生活習慣の一つとして、毎日の食生活に賢くサプリメントを取り入れたいものです。

糖質はダイエットの敵である?

事実はまったく逆です。じゃがいもやとうもろこしなどのでんぷん質の多い野菜や100%全粒大麦は、筋肉から脳細胞まで、体内のあらゆる組織のエネルギー源となるブドウ糖を供給しており、世界各国で主食として摂取されている質の高い糖質です。また、ビタミン、ミネラル、食物繊維も豊富に含まれています。たとえばアメリカやヨーロッパで広く食べられているオートミールの材料であるオート麦(エンバク)。そこに含まれる水溶性食物繊維のβグルカンは血糖値やコレステロールを下げる働きがあり、糖尿病や心臓病の予防、治療に効果的であることから広く健康食品として認知されています。また、エネルギー量が低い割には満腹感を感じる効果があるため、あらゆるダイエットに組み入れることのできる使い勝手がよい食材としても知られています。

もちろん、ダイエット中であるならば、全粒粉パンやライ麦パンを選び、白いパンなどの精製された食品と脂肪分の多いバター、クリームチーズ、サワークリームなどの食品を一緒に食べるのは避けた方が賢明です。バターひと塗りのカロリーはパン1枚分よりはるかに多く(108キロカロリーに対し、61キロカロリー)、プレーンのじゃがいもは88キロカロリーであるのに対してフライドポテトに調理するとカロリーが4倍(354キロカロリー)になるなど、大切なのは糖質の種類とその調理方法、摂取方法です。ダイエットを成功させるためには、うわべの情報だけではなく、正しい知識に基づいた専門家の意見やアドバイスにしっかりと耳を傾けることが必要です。

DHAは亜麻やエゴマからでも十分に摂取できる?

栄養素として注目されているオメガ3系の脂肪酸には3つの種類があります。ひとつは、心臓病のリスクを低下させ、体内の慢性炎症を鎮める働きがあると言われているα-リノレン酸(ALA)。そして残りの二つは血液や血管の健康に様々な効果があり、すでに医療医薬品としても活用されているエイコサペンタエン酸(EPA)と、視力の改善、高血圧のリスク抑制、認知機能の回復に優れた効果を持つことが明らかになってきたドコサヘキサエン酸(DHA)です。

α-リノレン酸(ALA)は亜麻、エゴマ、クルミ、大豆などの植物性食品に多く含まれていますが、このα-リノレン酸は体内に摂取されると、そこからEPAとDHAに変換されます。これにより、亜麻やエゴマを食べることでEPAとDHAも同時に摂取できるという考えが広まりました。しかし、その後の研究によって、α-リノレン酸からEPAとDHAへの変換率は非常に低く、必要量を摂取するためにはマグロやサケ、サバ、イワシといったEPAとDHAが多く含まれる食品、もしくはそれらの魚油からつくられたサプリメントを利用することが一般的となったのです。

そして近年では、「大きな魚にたくさんのEPAとDHAが含まれているのは、彼らの餌となる小魚が藻からEPAとDHAを摂取して体内に蓄積しているためである」という食物連鎖に着目したことから藻由来のボタニカルなサプリメントが開発され、ベジタリアンはもちろん、魚アレルギーや妊娠によって魚の摂取を制限している人たち、魚そのものや魚油が苦手な人たちから大いに歓迎されています。もし、これからDHAサプリメントの購入を予定しているのであれば、藻由来、もしくは植物由来とされているボタニカルな製品を試してみてはいかがでしょうか。